2020年7月6日月曜日

2019年度日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ問題15の解説

問1 「日本語能力試験」に関する記述として適当なものを選ぶ問題

📖赤本(第4版)関連箇所:〚日本語能力試験(日能試、JLPT)〛P382、〚ヨーロッパ言語共通参照枠組み(CEFR)〛P329、〚絶対評価/相対評価〛P231


日本語能力試験に関する細かいデータは赤本には載っていません。日本語能力試験のウェブサイトに詳細なデータが掲載されていますので、普段から関心を持っておく必要があります。


2019年 第1回(7月)データ | 過去の試験のデータ | 日本語能力試験 JLPT


1 2019年7月の日本国内のレベル別受験者数は、(N1)42,997人、(N2)64,503人、(N3)68,231人、(N4)23,115人、(N5)4,085人ということなので、選択肢1の内容は適切ではありません。

2 2019年7月の国内外の受験者は(国内)202,931人、(海外)347,517人ということなので、選択肢2の内容は適当と言えます。

3 CEFRのレベルはA1、A2、B1、B2、C1、C3の6段階で、日本語能力試験はN1、N2、N3、N4、N5の5段階なので、対応はしていません。

4 日本語能力試験は、到達目標(合格点、基準点)を基準とする絶対評価です。日本語能力試験はそのレベルに到達しているかどうかを判定する試験なので、相対評価で判定できる集団内での位置づけは関係ありません。


したがって、正解は2になります。


☞超重要絶対暗記 《ヨーロッパ言語共通参照枠組み(CEFR)》
⦿ヨーロッパ言語共通参照枠組み(CEFR):欧州評議会によって設定された、どの言語にもあてはまる言語能力を測定するための共通の枠組みのこと。6段階に分けて、学習者の熟達度のレベルを「~ができる(can-do)」という形で記述している。国際交流基金が発表したJF日本語教育スタンダードはCEFRの理念を踏襲している。


☞超重要絶対暗記 《絶対評価と相対評価》
⦿絶対評価:到達目標をどの程度達成したかによって行う評価方法。到達度評価。目標に準拠した評価ともいう。
⦿相対評価:集団の中での相対的な位置づけによって行う評価方法。集団に準拠した評価ともいう。




問2 「BJTビジネス日本語能力テスト」に関する記述として適当なものを選ぶ問題

📖赤本(第4版)関連箇所:P384


BJTビジネス日本語能力テスト(BJT)に関して、赤本の情報では少なすぎて、選択肢の適不適を判断することができません。そういう時は・・・・残念ながら鉛筆を転がすしかないでしょう。


1 BJTは2017年4月からCBT方式に変わったようです。しかし、テストセンターで受験する必要があり、自宅で受験することはできません。したがって、「自宅で受験できる」とする選択肢1は適当ではありません。

2 BJTの試験結果は、「合格/不合格」ではなく0~800点のスコアと、スコアに応じた6段階のレベルで評価されます。したがって、選択肢2の内容は適当と言えます。

3 BJTは四肢択一式であり、記述式問題は含まれません。

4 ウェブサイトで確認してみましょう。出題基準は公開されていません。


したがって、正解は2になります。


BJTのホームページを見て、各選択肢の正誤を確認しておきましょう。
BJTビジネス日本語能力テスト


☞超重要絶対暗記 《BJTビジネス日本語能力テスト(BJT)》
⦿BJTビジネス日本語能力テスト(BJT):実用的なビジネス日本語能力を測る、外国人ビジネス関係者向けの、公的な日本語能力テスト。1996年から独立行政法人日本貿易振興協会(JETRO)が実施してきたが、2009年からは公益財団法人日本漢字能力検定協会の主催となった。




問3 「『日本留学試験』の日本語科目」で問われる能力としてシラバスに挙げられていないものを選ぶ問題

📖赤本(第4版)関連箇所:P383「日本留学試験(日留試、EJU)」


この問題も厳しいですね。日本留学試験(EJU)の内容に関して赤本には記載されていませんので、日本留学試験が大学入学のために試験であることがら推測するしかありません。

正解となる選択肢1は、ビジネスにおいても重要視される能力です。


EJUについても、EJUのホームページで確認しておきましょう。
日本留学試験(EJU) - JASSO


正解は1です。


☞超重要絶対暗記 《日本留学試験(日留試、EJU)》
⦿日本留学試験(日留試、EJU):日本の大学などに入学を希望する外国人留学生を対象とした試験。大学で学ぶために必要とされる日本語力および基礎学力を評価する。2002年から年2回(6、11月)、日本学生支援機構によって実施されている。日本内外で受験することができる。




問4 「主観テスト」の特徴として適当なものを選ぶ問題

📖赤本(第4版)関連箇所:P233~


主観テストとは、特に決まった正答がなく、採点者の主観が採点結果に影響を及ぼす可能性があるテスト形式のことです。具体的には、作文や小論文、スピーチ、プレゼンテーション、ロールプレイなどです。

一方、客観テストは、正答が1つしかないので、採点者によって点数が変わることがありません。マークシート方式などコンピュータでも採点できるテスト形式です。


1 解答から問題の良否を統計的に判断できるのは、多数の問題を出題できる客観テストです。たとえば、他の問題と比べて、一つだけ正答率が著しく低い問題があれば、難易度が適当ではなかったか、誤解をあたえるような表現があったか、範囲外からの出題だったかなど、統計的に問題の良否を判断することができます。

2 広い範囲から多数の問題を出題できるのは、客観テストになります。

3 主観テストは、特に決まった正答がなく、採点者の主観が採点結果に影響を及ぼす可能性があるテスト形式、つまり、採点者によって採点結果が変わるので、「結果の信頼を確保することが困難」という選択肢3の内容は適当と言えます。

4 採点基準を一定に保つことが容易であるのは、正答が1つしかない客観テストです。


したがって、正解は3になります。


☞超重要絶対暗記 《主観テストと客観テスト》
⦿主観テスト:特に決まった正答がなく、採点者の主観が採点結果に影響を及ぼす可能性があるテスト形式のこと。作文や小論文、スピーチ、プレゼンテーション、ロールプレイなど、学習者に自由に表現させ、総合的な運用能力をみるのに適している。
⦿客観テスト:明確な正答があり、採点者によって採点結果に影響することがないテスト形式のこと。マークシート方式などコンピュータで採点することもできる。




問5 学習者のニーズとそれに対応するテストの組み合わせとして適当なものを選ぶ問題


📖赤本(第4版)関連箇所:〚OPI(ACTFL-OPI)〛〚BJTビジネス日本語能力テスト(BJT)〛P384、〚JSL対話型アセスメント〛P368※26、〚日本留学試験〛P383

1 OPIはOral Proficiency Interviewの略で、面接による口頭表現能力試験のことです。したがって、作文能力のレベルを知りたい学習者のニーズを満たすテストではありません。

2 BJTビジネス日本語能力テスト480点以上で、高度人材ポイントを15点、400点以上で10点加算することができます。したがって、選択肢2の組み合わせは適当です。

3 JSL対話型アセスメント(DLA)は、外国人児童生徒の日本語力を測るためのテストなので、会話能力を就職先に証明したい学習者のニーズを満たすテストではありません。

4 日本留学試験はマークシート方式であり、現在のところウェブ上で試験を受けることはできません。


したがって、正解は2になります。


☞超重要絶対暗記 《OPI(ACTFL-OPI)》
⦿OPI(ACTFL-OPI):面接による口頭表現能力試験(会話テスト)。資格を持つテスターが被験者に1対1で最長30分のインタビューとロールプレイによってレベルを判定する。

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