2020年7月9日木曜日

2018年度(平成30年度)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題1(6)~(10)の解説

(6)転訛形に関する仲間外れ問題


転訛形・・・・赤本出てこない用語です。読み方は、てんかけい。意味は、語の本来の音が訛って変化することです。
 
1 「やめとく」は、「やめておく」が訛ったものです。
2 「すっごく」は、「すごく」を強調したものです。訛ったものではありません。
3 「してんの」は、「してるの」が訛ったものです。
4 「帰らなきゃ」は、「帰らなければ」が訛ったものです。
5 「やっちゃいな」は、「やってしまいな」が訛ったものです。
 

したがって、正解は2になります。




(7)漢字の読みとつくりに関する仲間外れ問題


設問の通り、読みとつくりに着目しましょう。


1 「議」のつくりは「義」。読みは「議」も「義」もともに「ぎ」となります。
2 「訪」のつくりは「方」。読みは「訪」も「方」もともに「ほう」となります。
3 「誤」のつくりは「呉」。読みは「誤」も「呉」もともに「ご」となります。
4 「認」のつくりは「忍」。読みは「認」も「忍」もともに「にん」となります。
5 「計」のつくりは「十」。読みは「計」は「けい」で「十」は「じゅう」で、「計」はつくりの「十」とは異なる読み方をします。


したがって、正解は5になります。



(8)熟字訓に関する仲間外れ問題

📖赤本(第4版)関連箇所:P157


熟字訓は、漢字二文字以上の熟字の読み方で、単漢字の訓を積み重ねて読むのではなく、熟字全体に日本語の訓をあてて読むことを言います。

たとえば、「大人」は、「大」と「人」の二文字を合わせて「おとな」と読みます。決して「大」が「おと」で「人」が「な」と読むわけではありませんし、「大」が「お」で「人」が「とな」と読むわけでもありません。


1 「子供」は、「子」が「こ」で「供」が「ども」であり、単漢字の訓を積み重ねて読む熟字なので、熟字訓ではありません。

2 「小豆」は、漢字二文字で「あずき」と読む熟字訓です。決して「小」を「あ」や「あず」と読んだり、「豆」を「ずき」や「き」と読むわけではありません。

3 「土産」は、漢字二文字で「みやげ」と読む熟字訓です。決して「土」を「み」や「みや」と読んだり、「産」を「やげ」や「げ」と読むわけではありません。


4 「明日」は、漢字二文字で「あした」と読む熟字訓です。決して「明」を「あ」や「あし」と読んだり、「日」を「した」や「た」と読むわけではありません。


5 「竹刀」は、漢字二文字で「しない」と読む熟字訓です。決して「竹」を「し」や「しな」と読んだり、「刀」を「ない」や「い」と読むわけではありません。


したがって、正解は1になります。






その他に熟字訓には、以下のものなどがあります。

・海女(あま) ・硫黄(いおう) ・意気地(いくじ) ・田舎(いなか) ・息吹(いぶき) ・海原(うなばら) ・乳母(うば) ・浮気(うわき) ・笑顔(えがお) ・伯父、叔父(おじ) ・伯母、叔母(おば) ・乙女(おとめ) ・風邪(かぜ) ・固唾(かたず) ・仮名(かな) ・為替(かわせ) ・昨日(きのう) ・今日(きょう) ・果物(くだもの) 


などなど。
  




(9)テ形の音便化に関する仲間外れ問題

📖赤本(第4版)関連箇所:P25,26「表1-1-1 Ⅰ型動詞の活用」


Ⅰ型動詞(Ⅰグループ動詞)、学校文法で言うところの五段活用動詞のテ形では、音便(促音便、撥音便、イ音便)が現れます。


テ形が促音便になる動詞の例

・「買う」のテ形は「買いて」ではなく、「買って」と促音便になる。
・「立つ」のテ形は「立ちて」ではなく、「立って」と促音便になる。
・「やる」のテ形は「やりて」ではなく、「やって」と促音便になる。


テ形が撥音便になる動詞の例

・「死ぬ」のテ形は「死にて」ではなく、「死んで」と撥音便になる。
・「飛ぶ」のテ形は「飛びて」ではなく、「飛んで」と撥音便になる。
・「読む」のテ形は「読みて」ではなく、「読んで」と撥音便になる。


テ形がイ音便になる動詞の例

・「書く」のテ形は「書きて」ではなく、「書いて」とイ音便になる。
・「こぐ」のテ形は「こぎて」ではなく、「こいで」とイ音便になる。
・「脱ぐ」のテ形は「脱ぎて」ではなく、「脱いで」とイ音便になる。


1 「歩く」のテ形は「歩きて」ではなく、「歩いて」とイ音便になります。
2 「話す」のテ形は「話して」です。音便は現れません。
3 「飲む」のテ形は「飲みて」ではなく、「飲んで」と撥音便になります。
4 「鳴る」のテ形は「鳴りて」ではなく、「鳴って」と促音便になります。
5 「呼ぶ」のテ形は「呼びて」ではなく、「呼んで」と撥音便になります。


したがって、正解は2になります。


なお、赤本P25に以下のような記載があります。

学校文法では、五段活用動詞と呼ばれ、連用形(日本語教育の活用表では「テ形」「タ形」「タリ形」「タラ形」)に音便形が現れる。「す」で終わる動詞には音便形が存在しないとされるが、言語学的には語幹に[i]が添加される変化が起きている。





(10)イ形容詞の作り方に関する仲間外れ問題


この問題は、設問の通り、各選択肢の色を形容詞にしてみましょう。


1 「青」は、後ろに「い」を付けて「青い」となります。
2 「黒」は、後ろに「い」を付けて「黒い」となります。
3 「赤」は、後ろに「い」を付けて「赤い」となります。
4 「黄」は、後ろに「い」を付けて「黄い」とはなりません。「黄色」にしてから後ろに「い」を付けて「黄色い」となります。
5 「白」は、後ろに「い」を付けて「白い」となります。


したがって、正解は4になります。

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