【取り立て助詞「も」】
(11)助詞を選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:〚助詞〛P39
これは一瞬で解答しておきたい問題です。
というのは、助詞の中でも、検定の出題頻度が極めて高く重要度が高いのが「格助詞」です。
格助詞は「が」「を」「に」「で」「と」「へ」「から」「より」「まで」の9つしかないので、全て覚えておかなければいけません。
選択肢の品詞をひとつひとつ順番に考えるまでもなく、パッと見て3の「より」を選べるように9つの格助詞を頭に叩き込んでおきましょう。
正解は3です。
ちなみに、選択肢1の「のだ」は助動詞(赤本P38)、選択肢2の「もう」は副詞(時数副詞、赤本P35欄外※11)、選択肢4の「こと」は形式名詞(赤本P34)になります。
☞超重要絶対暗記 《格助詞》
⦿格助詞は、「が」「を」「に」「で」「と」「へ」「から」「より」「まで」の9つだけ。
(12)「取り立て助詞」の説明に関する問題
📖赤本(第4版)関連箇所:P〚取り立て助詞〛〚並列助詞〛、〚モダリティ〛P84
取り立て助詞は、「他の要素との関係を背景に、文中の語に付いて、さまざまな意味を添える」(赤本P40)働きをします。
たとえば、「1回やりたい」という文と、「1回だけやりたい」という文の意味を考えてみましょう。
「1回やりたい」という文は、文字通り「1回やりたい」という意味しか持ちませんが、取り立て助詞の「だけ」を加えて「1回だけやりたい」という文にすると、もともとの「1回やりたい」という意味に、「でも、2回はやりたくない」という意味が添えられるようになります。これが取り立て助詞の働きです。
つまり、文中のある要素(上の例では「1回」)に焦点を当て、暗示された要素(同「2回」)との関係(同「1回はやりたいけど、2回はやりたくない」)を表わしているわけです。
したがって、正解は4になります。
なお、選択肢1は並列助詞の説明、選択肢2はモダリティの説明、選択肢3は助詞の説明になっているのではないかと思います。
(13)「も」の基本的な用法に関する問題
📖赤本(第4版)関連箇所:〚取り立て助詞〛P40、〚共起(関係)〛P121※25
実際に「も」を使った例文を作って、確認してみましょう。
「りんごが好き。バナナも好き。いちごも好き。ぶどうも好き」
1 上の例文から確認できるように、好きなものを並び立てているわけですから、取り立て助詞「も」の基本的な用法は「並立」になります。
2 「共起(関係)」の意味は、赤本P121の記載の通り、「文中で、語が他の語と共に用いられる関係のこと」を言います。具体的には、「雨がしとしと降る」とは言いますが、「雪がしとしと降る」とは言いません。この場合、“「しとしと」は「雨が降る」とは共起するが、「雪が降る」とは共起しない”と言います。選択肢2は解答として意味を成していません。
3 バナナやいちごやぶどうが、りんごと同類のもの、似ていることを示しているわけではないので、取り立て助詞「も」の基本的な用法は「類似」ではありません。
4 「対比」というのは、「りんごが好き。ドリアンは嫌い」の「は」のように、XとYを比較し「Xは・・・・だが、Yは・・・・でない(・・・・だ)」という関係です。よって、取り立て助詞「も」の基本的な用法が「対比」ではないことが分かると思います。
したがって、正解は1になります。
(14)取り立て助詞「も」が取り立てる要素に関する問題
📖赤本(第4版)関連箇所:〚命題とモダリティ〛〚命題を表す格助詞〛P51
選択肢をひとつずつ見ていきましょう。
1 選択肢1の「も」は、「並列」の用法ではなく、「意外さ」の用法です。直前の要素である「早い」や「来年」を取り立てて、「こんなに早い」「想像以上に早い」「もっと先だと思っていたけどもう来年」という意味を添えています。このように、直前の要素を取り立てていることが分かるので、適当な例とは言えません。
2 「日本でもよい」は、直前の要素「日本で」を取り立てて、(たとえば)「アメリカではいいけど、日本でもよい」というような意味を添えています。「海外でもよい」も同様です。このように、直前の要素を取り立てていることが分かるので、適当な例とは言えません。
3 「彼が来ても気に留めない」は、直前の要素「来て(来)」を取り立てて、「彼が来ても気に留めない。来なくても気に留めないけどね」という意味を添えています。「来なくても気に留めない」なら、直前の要素「来なくて(来ない)」を取り立てて、「彼が来なくても気に留めない。来ても気に留めないけどね」という意味が添付されます。このように、直前の要素を取り立てていることが分かるので、適当な例とは言えません。
4 「頭も冷やしたし・・・」は、直前の要素「頭」を取り立てて、「頭も冷やしたし、腕も冷やしたし、足も冷やした」と言いたいわけではありません。「頭も冷やしたし、ビールも冷やしたし、スイカも冷やした」と言いたいわけでもありません。「薬も飲んだ」も、直前の「薬」を取り立てて、「薬も飲んだし、スープも飲んだし、ビールも飲んだ」と言いたいわけではありません。「頭を冷やす」「薬を飲む」という命題を取り立てて、「頭を冷やしても、薬を飲んでも熱が引かない」という用法です。
したがって、正解は4になります。
(15)取り立て助詞「も」の「意外さ」の用法に関する問題
この問題は、日本語力に関する問題だと思うので、赤本の内容云々というよりも、普段から日本語の使い方や文法について意識を払うことが必要とされます。
1 「たとえ明日が雨でも、運動会は行います」「たとえ世界が滅んでも、私はあなたを愛し続ける」などのように、“そうなるとは思っていないけど、たとえ想定外にそうなったとしても(意外性)”という文でも、「でも」は使えると思います。
2 「子どもが5人も生まれた」の「も」は、“せいぜい1人か2人だと思っていたら、予想以上にたくさん生まれた”という驚きを意味しているので、選択肢2の記述は適切だと言えます。
3 「特別な文脈」がどのような文脈のことを指しているのか分かりかねますが、決まった文脈の中でしか使えないというような、文脈上の縛りは特にないのではないでしょうか。
4 「連続性があると使えない」のではなく、「連続性がないと使えない」が正しいと思います。「子どもまで駆り出される」という文は、たとえば「大人は当然だが、子どもまで駆り出される」という意味が添えられるので、「でも」が取り立てる要素は「子ども」、暗示される対象は「大人」となります。このように、「子ども」と「大人」のように取り立てる要素と暗示される対象に連続性がある場合でも使うことができるので、選択肢4の記述は適切ではないことが分かります。
したがって、正解は2になります。
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