2020年7月14日火曜日

2018年度(平成30年度)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題3Bの解説

B 【対義語】

(6)対義語のタイプに関する空欄補充問題

📖赤本(第4版)関連箇所:〚対義語のタイプ〛P123


対義語のタイプを確認しておきましょう。




ということで、(6)の問題は「一方が肯定されれば、他方が否定される関係」=相補的対義語の例を選択肢から選ぶ問題です。


1 「重い/軽い」は両極的であり、「少し重い」とか「まあまあ軽い」というように中間段階を持つので、連続的対義語になります。

2 「ある/ない」は、「ある」ということでなければ「ない」ということであり、「ない」ということでなければ「ある」ということになります。「ある」でも「ない」でもない状態はありえません。よって、「ある/ない」は、一方が肯定されれば、他方が否定される相補的対義語になります。

3 「始まり/終わり」は両極的ではありますが、「少し始まり」とか「けっこう終わり」というように中間段階があって連続的に繋がっているわけではないので、両極的対義語になります。

4 「前進/後退」は、両極的ではないので両極的対義語でも連続的対義語でもありません。一方が肯定されれば他方が否定される関係でもありません(「前進」してなければ必ず「後退」してるわけではありません。「停滞/停止」していることも考えられます)ので、相補的対義語でもありません。「前進/後退」は、視点によって捉え方が異なるので視点的対義語になります。


したがって、正解は2になります。




(7)「大きい/小さい」というタイプの対義語に関する空欄補充問題

📖赤本(第4版)関連箇所:〚対義語のタイプ〛P123、〚副詞〛P35,36


「大きい/小さい」は、両極的で中間段階を持つので連続的対義語になります。中間段階というのは(6)での説明の通り、程度によって表現できるということを意味します。

したがって、正解は3になります。


1 頻度副詞は、「いつも」、「たいてい」、「ときどき」、「しばしば」、「まれに」など頻度を表すものです。
2 陳述副詞は、文末と呼応し、文の陳述の仕方を表すものです。「たぶん(~だろう)」、「まるで(~ようだ)」、「決して(~ない)」など。
4 様態副詞は、動作や作用の様子を説明するもので、擬態語や擬音語、同じ音を繰り返す畳語などが多い。「にっこり(と)」、「さっぱり(と)」、「すっきり(と)」、「ドカーン(と)」、「ひそひそ(と)」、「バタン(と)」、「ピカピカ」、「べとべと」、「のろのろ」、「ガミガミ」など。




(8)「互いに相手の存在を前提にしている対義語」の例を選ぶ問題


選択肢を一つずつ吟味していきましょう。


1 「看護師」は男性にも女性にも使う言葉で、「看護婦」は女性にしか使いません。両者は、「看護師」の中に「看護婦」も含まれる包摂関係にあるので、対義語ではなく類義語になるのではないかと思います。「看護師/患者」であれば互いに相手の存在を前提にしていると言えると思います。

2 「社長」の対義語は「社員」とか「従業員」になるのではないでしょうか。で、「部下」の対義語が「上司」になると思います。「上司/部下」であれば互いに相手の存在を前提にしている対義語になると思います。そもそも、一人で会社を経営している人(社長)もいるわけですから、「社長」が互いの存在を前提にしている対義語の片方になるということはあり得ないでしょう。

3 「姉/兄」は性別の違いであって、互いに相手の存在を前提にしている対義語ではありません。「姉/妹」や「兄/弟」、「姉/弟」、「兄/妹」であれば互いに相手の存在を前提にしている対義語と言えるでしょう。

4 「親」であれば「子」がいるということであり、「子」であれば(必ず)「親」がいるわけですから、「親/子」は、互いに相手の存在を前提にしている対義語と言えます。


したがって、正解は4になります。




(9)語種が共通でない対義語の例を選ぶ問題

📖赤本(第4版)関連箇所:〚語種〛P111


語種は、語彙がどのように生じたかに注目した語彙の分類で、語種には次の3種類があります。




1 プロもアマも外来語なので、語種は共通です。
2 砂糖も醤油も漢語なので、語種は共通です。
3 頂上は漢語、麓は和語なので、語種は共通ではありません。
4 水も油も和語なので、語種は共通です。

したがって、正解は3になります。




(10)対義語同士の品詞の関係に関する問題


1 「違う」の対義語は「同じ」(ナ形容詞)なので、選択肢1の記述は適当ではありません。
2 「間に合う」の対義語は「遅れる」(動詞)なので、選択肢2の記述は適当ではありません。
3 「嫌い」の対義語は「好き」(ナ形容詞)なので、選択肢3の記述は適当ではありません。
4 「若い」の対義語は「年をとっている」や「老けている」(動詞)なので、選択肢4の記述は適当と言えます。


したがって、正解は4になります。





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