2020年7月11日土曜日

2018年度(平成30年度)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題2の解説

(1)「気候」が「拮抗」と聞こえてしまう誤用

📖赤本(第4版)関連箇所:〚拍(モーラ)〛P103,P399-400,P426


「気候」と言っているつもりなのに、「拮抗」と聞こえてしまうのは、拍に関わる誤用です。





たとえば、「ティッシュペーパー」は、「ティ・ッ・シュ・ペ・ー・パ・ー」は7拍となる。

「気候」は「き・こ・う」で3拍、「拮抗」は「き・っ・こ・う」で4拍となります。


1 「暇」は「ひ・ま」で2拍、「居間」は「い・ま」で2拍となります。選択肢1は拍に関わる誤用ではなく、「ひ」と「い」の発音に関わる誤用です。

2 「西」は「に・し」で2拍、「日誌」は「に・っ・し」で3拍となります。よって、選択肢2は「気候」が「拮抗」と聞こえてしまうのと同様に拍に関わる誤用です。

3 「渡航」は「と・こ・う」で3拍、「登校」は「と・う・こ・う」で4拍となります。よって、選択肢3は「気候」が「拮抗」と聞こえてしまうのと同様に拍に関わる誤用です。

4 「今日」は「きょ・う」で2拍、「器用」は「き・よ・う」で3拍となります。よって、選択肢4は「気候」が「拮抗」と聞こえてしまうのと同様に拍に関わる誤用です。


したがって、正解は1になります。




(2)「~一緒に食べろう」という誤用


正しくは「食べよう」です。半母音の「よ」の音が、弾き音の「ろ」の音になってしまっているので、調音法に関わる誤用といえます。









1 「信じう」が「信じう」になってしまっているので、設問と同様に調音法に関わる誤用といえます。
2 「植えよう」が「植えろう」になってしまっているので、設問と同様に調音法に関わる誤用といえます。
3 「考えよう」が「考えろう」になってしまっているので、設問と同様に調音法に関わる誤用といえます。
4 「出来るだろう」が「出来ろう」になってしまっているので、調音法に関わる誤用とは言えません。活用の仕方に関わる問題と言えます。


したがって、正解は4になります。




(3)「カレーを作っているという匂い~」という誤用


正しくは「カレーを作っているという匂いがします」となるでしょう。


1 正しくは「家族でキャンプをしているという写真を部屋に飾ります」となるでしょう。
2 正しくは「私は10年前から東京という首都に住んでいます」となるでしょう。
3 正しくは「部屋のどこかから水が流れるという音がするんです」となるでしょう。
4 正しくは「先週から喉がちくちくするという痛みがあります」となるでしょう。


したがって、正解は2になります。




(4)「~たいてい8割くらい~」という誤用


正しくは「だいたい8割くらい」となるでしょう。学習者は、頻度や確率で用いられる「たいてい」と、数量や割合で用いられる「だいたい」を混同しているものと思われます。


1 正しくは「だいたい1時間ぐらい」であり、「たいてい」と「だいたい」の混同による誤用と言えます。
2 正しくは「だいたい全員」であり、「たいてい」と「だいたい」の混同による誤用と言えます。
3 正しくは「たいてい忘れてしまう」もしくは「忘れてしまうことがよくある」であり、頻度を表す「たいてい」と「よく」を重複して使用していることによる誤用と言えます。
4 正しくは「だいたい何グラム」であり、「たいてい」と「だいたい」の混同による誤用と言えます。


したがって、正解は3になります。




(5)「~に行く前、~を終わらせよう」という誤用


正しくは「買い物に行く前、洗濯を終わらせよう」となるでしょう。

1 正しくは「結婚する前、私の両親に会ってもらいたい」となるでしょう。
2 正しくは「騒ぎが収まるまで、おとなしくしていよう」となるでしょう。
3 正しくは「ご飯を食べる前、この薬を飲む必要がある」となるでしょう。
4 正しくは「彼が来る前、この話の結論を出そう」となるでしょう。


したがって、正解は2になります。

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