2020年6月11日木曜日

2019年度日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題4の解説

問1 「社会的リソース」の例を選ぶ問題

📖赤本(第4版)関連箇所:〚学習リソース〛P205


日本語学習のリソースには、人的リソース、物的リソース、社会的リソースの3つがあります。


☞超重要絶対暗記 《日本語の学習リソース》
⦿人的リソース:教師、友だち、クラスメイト、会社の上司など
⦿物的リソース:教科書、辞書、書籍、新聞、Webサイト、YouTube、図書館など
⦿社会的リソース:地域社会、アルバイト、コミュニティ、サークル活動、SNSなど


1 学習者仲間は人がリソースになるので人的リソース
2 地域のボランティアは社会的な活動がリソースになるので社会的リソース
3 デパートの展覧会は、展示された展示物がリソースになるので物的リソース
4 ニュース番組は番組という制作物がリソースになるので物的リソース


したがって、正解は2になります。




問2 学習者とのコミュニケーションに関する問題

📖赤本(第4版)関連箇所:〚教師の話し方〛P226、〚ティーチャートーク、フォリナートーク、ベビートークP346 


選択肢にある用語の中で、赤本に出ているのは選択肢1のティーチャートークだけです。選択肢2以降は、知らない用語のオンパレードで不安になるかもしれませんが、難解用語に惑わされてはいけません。


ティーチャートークは、教師が学習者に合わせて分かり易く話すことですから、自信を持って選択肢1を選びましょう。


正解は1です。


ちなみに、

2 ラポートトークは、相手の感情に働きかける話し方のようです。で、ラポートトークと対象的な話し方にリポートトークというものもあるようです。Googleなどで検索しておきましょう。

3 相手にとって理解可能な言葉を使って話すことをケアテイカー・スピーチと言うようなので、ティーチャートークやフォリナートーク、ベビートークはケアテイカー・スピーチの下位分類ということになるのかもしれません。

4 インナースピーチは、言語心理学用語で、音声として発する前の頭の中の言語活動のことのようです。よく分かりませんが、検定に出たということは、よく調べて覚えておいた方がいいかもしれません。


せっかくなので、この際、赤本に出てくる〇〇トークをすべて覚えてしまいましょう。


☞超重要絶対暗記 《ティーチャートーク、フォリナートーク、ベビートーク》
⦿ティーチャートーク:語学教師が学習者に対してする話し方
⦿フォリナートーク:母語話者が非母語話者に対してする話し方
⦿ベビートーク:大人が子どもに対してする話し方




問3 「指示質問」の説明として適当なものを選ぶ問題

📖赤本(第4版)関連箇所:〚レファレンシャル・クエスチョン(指示質問)〛P227


指示質問(レファレンシャル・クエスチョン)は、質問する人が、答えを知らない質問です。たとえば、「趣味は何ですか?」とか、「好きな食べ物は何ですか?」とか、「今週末の予定は?」など。


したがって、正解は2になります。


ちなみに、質問する人が答えを知っている質問を提示質問(ディスプレイ・クエスチョン)と言います。具体的には、教師が時計を見ながら学習者に「今何時ですか?」と聞く質問や、リンゴの絵カードを示して「これは何ですか?」と聞く質問など。


いい機会なので、赤本に出てくる〇〇クエスチョンをすべて覚えてしまいましょう。


☞超重要絶対暗記 《教師が発する質問(発問)の分類》
⦿クローズド・クエスチョン:答えの内容や答え方が限定される質問
 ・イエス・ノー・クエスチョン:はい/いいえで答えられる質問
 ・オータナティブ・クエスチョン:二者択一で問う質問
⦿オープン・クエスチョン:「どうしてか」「どう思ったか」など答えを自由に考えることができる質問
⦿ディスプレイ・クエスチョン:質問者があらかじめ答えが分かっている質問
⦿レファレンシャル・クエスチョン:質問者が答えを知らない質問




問4 「板書」の留意点に関する問題
 
📖赤本(第4版)関連箇所:〚授業中の提示の仕方〛P227


赤本P227に板書に関する以下の記述があります。

板書は、書くタイミングや消すタイミング、字配りや字のサイズ、使用文字種(漢字、ひらがな、ふりがな)などのレイアウトなど、板書プランを事前に考えておく必要がある。

したがって、正解は4になります。


1 例文や説明をたくさん書くと、何が大事なことだか分からなくなるので、大事なことだけシンプルに分かり易く板書することが大切だと思います。

2 重要な文型なども板書する必要があると思います。

3 正解の選択肢4とは真逆の内容です。板書プランを事前に考えておくことは必要なことです。  




問5 「絵教材」に関する記述として最も適当なものを選ぶ問題

📖赤本(第4版)関連箇所:〚教材・教具〛P202、〚教案の例〛P215「図2-1-12 教案の冒頭部分の例」


赤本P203に絵カードに関する以下の記述があります。
初級レベルでよく使う絵カード・文字カードは、パネルとしてホワイトボードに貼り付けた場合は絵パネル・文字パネルと呼ばれる。さらに、学習者の即時的反応を引き出すためにリズミカルにテンポよく提示する場合にはフラッシュカードと呼ばれる。同じものでも使い方によって呼び方が異なる。

1 絵カードをフラッシュカードとして使う場合の記述として適切な内容だと言えます。

2 板書同様、絵教材(絵カード)も提示するタイミング、外すタイミングも重要だと思います。赤本P215の教案例にも、経過時間2分のところで、「T:(絵を添付・・・)」とあることからも、「全ての絵教材を授業開始前に黒板に張っておく」ことが適当とは言えないことが分かると思います。

3 教師が自分で絵を書くことも大切なことだと思いますが、分かりづらくてもいいということにはならないでしょう。分かり易いに越したことはありません。

4 その事物の周囲の物まで細かく描かれたものは、何を示している絵なのか分かりづらくなると思いますので、その物事だけが描かれたものを使用すべきでしょう。


したがって、正解は1になります。

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