問1 「熟達度テスト」を選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:〚テストの種類〛P231,232
「熟達度評価」として行われるテストは、学習者・受験者がその時点で持っている能力を測定することを目的としたもので、「熟達度テスト(プロフィシエンシー・テスト)」または「能力テスト」と呼ばれるものです。たとえば、日本語能力試験やOPIなどがこれに当たります。
1 「適正テスト(アプティテュード・テスト)」は受験者の語学学習に対する適正を測るもので、受験者の実力(熟達度)や学習の到達具合を測るものではありません。たとえば、入社試験などで行われる、単純な計算をひたすら繰り返すクレペリン検査のようなものが適正テストです。
2 「プレースメント・テスト」とは「クラス分けテスト(組分けテスト)」のことで、その受験者のその時点で持っている能力を測って、その受験者に合ったレベルのクラスに振り分けるわけですから、プレースメント・テストは「熟達度評価」として行われるテストと言えます。
3 「コースの定期テスト」は、そのコースで学んだことがどれだけ身に付いているか、つまり、コースの到達目標をどれだけ達成できているかを測る「到達度テスト(アチーブメント・テスト)」です。熟達度テストではありません。
4 「単元テスト」も「コースの定期テスト」と目的は同じで、その単元の内容がどれだけ理解できているか、身に付いているか、つまり、単元の到達目標をどれだけ達成できているかを測る「到達度テスト(アチーブメント・テスト」なんで、熟達度テストではありません。
したがって、正解は2になります。
問2 「訂正法(correction)」と呼ばれるテスト形式の例として適当なものを選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:〚客観テストと主観テスト〛P235-237
1 いくつかの選択肢の中から正答を選ぶテスト形式は多肢選択法といいます。訂正法ではありません。
2 受身への書き換えのように、指示にしたがって答えを書かせたり文を変換させるテスト形式は指示法・転換法といいます。訂正法ではありません。
3 このように誤用のある個所を正しく訂正させるテスト方式が訂正法です。
4 単語を正しい順序に並び替え、文を作らせるテスト方式は再配列法といいます。訂正法ではありません。
したがって、正解は3になります。
問3 テストの「妥当性」を損なう要因として最も適当なものを選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:〚よいテストの条件〛P238
よいテストの条件には、妥当性、信頼性、有用性などがあり、その中でも特に重要視されているのが妥当性です。
1 本来であれば正解できるのに、問題文の指示が悪いせいで低い点数になってしまう。これは、テストの点数がその人の実力を適切に示していないということであり、そのテスト(の点数)は信頼できないということになります。よって、選択肢1は信頼性を損なう要因と言えます。
2 漢字が読めるか読めないかによって点数が上下するのであれば、そのテストは聴解能力を測定するものとして妥当とは言えません。よって、選択肢2は妥当性を損なう要因として適当と言えます。
3 分からなくても正解できてしまう、受験者の能力が低くても高い得点がとれてしまう。選択肢1とは逆のパターンです。これも、テストの点数がその人の実力を適切に示していないということであり、そのテスト(の点数)は信頼できないということになります。よって、選択肢3は信頼性を損なう要因と言えます。
4 サイレンの音によって聴解テストが聞こえづらくなりテスト結果に影響が出ることが考えられます。テストを実施した場所や時間によって、サイレインが聞こえるか聞こえないかによって、結果が変わる可能性がある、つまり、安定した結果が得られない可能性があるので、選択肢4は信頼性を損なう要因と言えます。
問4 「標準偏差」の説明として適当なものを選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:〚標準偏差〛P245、〚項目困難度・項目弁別力〛P246、〚中央値〛P244
赤本P245を見ると「標準偏差は得点の分布状況における『平均値からの標準的な隔たり』を示すものと考えてよい」と記載してありますが、はっきり言ってこれでは何のことかよく分からない人が多いのではないかと思います。
いまいちよく理解できない人は、まずこれだけ覚えておきましょう。
標準偏差とは、ひとことで言えば、(得点の)バラツキを表すものです。標準偏差のキーワードはバラツキ。
選択肢で言えば、1の「散らばり」「広がり」がバラツキを表す言葉です。
したがって、正解は1になります。
2 項目弁別力の説明です。
3 中央値の説明です。
4 項目難易度の説明です。
問5 「Can do statements」を使った自己評価の記述として適当なものを選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:〚~ができる(Can-do)〛P329
Can do statementsとは、各レベルを、「~ができる」という尺度で評価するための、「簡単な日常会話ができる」「新聞を読むことができる」などの実社会で行う具体的な言語活動を示したもののことをいいます。
1 Can do statementsは、学習者の言語レベルを「~ができる」という形で表わすものであり、他の学習者と技能や熟達度を比較するものではありません。
2 たとえば「生活ができる」という抽象的な記述文よりも、「ニュースが理解できる」「道を尋ねて目的地に行くことができる」「駅で切符を買うことができる」「レシピを見て料理を作ることができる」という具体的な記述文の方が学習者の能力を正確に表すことができます。よって、選択肢2の記述は適当ではありません。
3 Can do statementsは、実社会で行う具体的な言語活動を示したものなので、普段から高い目的意識を持って自律的に勉強することは、自己評価の結果に大いに影響するものと考えらえます。
4 学習者自身が評価すると、控えめな学習者は自身を低く評価する傾向があるだろうし、強気な学習者は自身を高く評価する傾向があるのではないでしょうか。このように自己評価は個人の特性に影響される側面があるので、選択肢4の記述は適当ではないと思います。
したがって、正解は3になります。
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