「内容言語統合型学習(CLIL)」について、赤本には記載がないので、日本CLIL教育学会ウェブサイトからの引用を以下に掲載します。
https://www.j-clil.com/clil
教科科目やテーマの内容(content)の学習と外国語(language)の学習を組み合わせた学習(指導)の総称で、日本では、「クリル」あるいは「内容言語統合型学習」として呼ばれ定着しつつあります。
主に英語を通して、何かのテーマや教科科目(数学(算数)、理科、社会、音楽、体育、家庭など)を学ぶ学習形態をCLILと呼ぶ傾向があります。
CLILの主な特徴は、学習内容(content)の理解に重きを置き、学習者の思考や学習スキル(cognition)に焦点を当て、学習者のコミュニケーション能力(communication)の育成や、学習者の文化(culture)あるいは相互文化(Interculture)の意識を高める点にあると言えるでしょう。
また、東洋英和女子学院大学の笹島茂教授はCLILの授業に関して、以下のように述べています。非常に参考になるので一読することをおすすめします。
幼児の英語学習にCLILの考え方を取り入れる方法~東洋英和女子学院大学・笹島茂教授インタビュー~|【公式】「ディズニー英語システム」(DWE)|子供・幼児英語教材|ワールド・ファミリー
例えそれ(先生の英語)が訛りのある英語だったとしても、英語そのものを学ぶわけではなく、算数や生物など、それぞれの教科の知識が培われるならいいという考えです。
オーストラリアの日本語のイマ―ジョンクラスを見学すると、先生は日本語で話していて、子供たちは日本語も英語も話しながら算数の学習をしたり絵を描いたりしています。子供たちのなかでは日本語も英語も関係ないようでした。
イマージョンプログラムとCLILとの明確な境目はありません。
CLIL独自のプログラムというようなものも特にはありませんので、イマージョンプログラムはCLILの方法の一つと言えると思います。
ただ、CLILには、イマージョンプログラムのような「プログラムの何%以上英語でなければならない」「日本語は禁止」のような言語的に考えられた厳密さはありません。つまり、複数の言語が自然に交差していく場での学習がCLILと言えます。
CLILの考え方は違いのある言語や文化にどう対応し、共存するかということにも結びついています。人によって、あるいはシーンによって、自然と出てくる言葉を使えば、その言語が身につくだけでなく、言語の背景にある文化の理解や共感も進みます。CLILの大きなねらいはそこにあるのです。
決して無理や強制をせず、英語を学習言語だというふうに考えさせないということが大事です。英語は無理やり学習させられるものだという固定概念が子供の中にできてしまうと、英語が嫌いになってしまうリスクがあります。
幼児期に、ままごとやサッカーなど、遊びやスポーツを英語で行うのもとてもよいですね。英語は「学ぶもの」ではなく、コンテンツを楽しむために「使うもの」だという意識を刷り込んであげると、子供の英語力を伸ばすことにつながります。
1 CLILには、イマージョンプログラムのような「プログラムの何%以上英語でなければならない」「日本語は禁止」のような言語的に考えられた厳密さはないので、「学習者に母語や媒介語を使用させず」という部分が誤りです。
2 選択肢2は完全に語学の授業内容だと思います。CLILは、第二言語そのものを学ぶわけではなく、教科科目の知識が培われればいい、というものです。よって、選択肢2の内容は誤りです。
3 CLILには、イマージョンプログラムのような「プログラムの何%以上第二言語でなければならない」「母語は禁止」のような言語的に考えられた厳密さはなく、決して無理や強制をせず、第二言語を学習言語だというふうに考えさせないということが大事なので、選択肢3は適切な内容です。
4 決して無理や強制をせず、第二言語を学習言語だというふうに考えさせないということが大事です。第二言語は無理やり学習させられるものだという固定概念が子供の中にできてしまうと、英語が嫌いになってしまうリスクがあるので、CLILにおいて、学習者の言語的な間違いを、教師が一つ一つ訂正するという選択肢4の内容は適切ではありません。
したがって、正解は3になります。
☞超重要絶対暗記 《内容言語統合型学習(CLIL)》
内容言語統合型学習(CLIL):
⦿教科科目やテーマの内容(content)の学習と外国語(language)の学習を組み合わせた学習(指導)方法。
⦿CLILの主な特徴は、学習内容(content)の理解に重きを置き、学習者の思考や学習スキル(cognition)に焦点を当て、学習者のコミュニケーション能力(communication)の育成や、学習者の文化(culture)あるいは相互文化(Interculture)の意識を高める点にある。
⦿CLILには、イマージョンプログラムのような「プログラムの何%以上英語でなければならない」「日本語は禁止」のような言語的に考えられた厳密さはない。つまり、複数の言語が自然に交差していく場での学習がCLILと言える。
⦿CLILの考え方は違いのある言語や文化にどう対応し、共存するかということにも結びついており、CLILの大きなねらいは、言語の背景にある文化の理解や共感にある。
⦿決して無理や強制をせず、英語を学習言語だというふうに考えさせないということが大切。
問2 「ゴミとリサイクル」についての活動で用いる資料を選ぶ際の留意点として適当なものを選ぶ問題
1 「内容言語統合型学習(CLIL)」の目的は、第二言語の学習にあるのではなく、あくまでもその科目(この問題の場合は環境問題)を学ぶことにあります。誤解を恐れずに言えば、通常の科目の授業で、言語を第二言語に変えただけ、とイメージするのがいいのではないかと思います。あくまで外国語を第一目的とした授業ではないため、学習済みの語や文法云々は、CLILで用いる資料を選ぶ際の留意点としては適当ではありません。
2 学習者の興味が高まれば、学習内容の習得も促進されます。
3 環境問題が自分の身近に感じることができれば、学習者の興味や集中力も増すことでしょう。
4 リアルな状況を理解できれば、内容に対する学習者の関心は高まることでしょう。
したがって、正解は1になります。
問3 「スキミングのスキルを使って読む」例として最も適当なものを選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:P225
「スキミング」と合わせて覚えておかなければならないものに「スキャンニング」があります。
赤本には「スキャンニング」と「スキミング」について次のように書かれています。
(赤本P225から抜粋)
速読には、知りたい情報を探すスキャンニングと、おおよその内容や要旨をつかむスキミングがある。また、黙読の際に語順は変えずに、文章の端から意味的なかたまりごと意味を把握していくフレーズ・リーディングもある。速読は、多読(エクステンシブ・リーディング)につながる。
つまり、
スキャンニングとは、読解や聴解で、不要な部分を読み飛ばして/聴き飛ばして、知りたい情報、必要な情報をつかむ読み方/聴き方で、
スキミングとは、読解や聴解で、全体をざっと把握して大意をつかむ読み方/聴き方。
したがって、正解は2になります。
1 スキミングは「使われている文法や文構造を理解する」ためのスキルではありません。
3 スキミングは「意見文を事実と意見に分類する」ためのスキルではありません。
4 「必要な情報をできるだけ速く探す」のはスキャンニングです。
☞超重要絶対暗記 《スキャンニングとスキミング》
⦿スキャンニング:読解や聴解で、不要な部分を読み飛ばして/聴き飛ばして、知りたい情報、必要な情報をつかむ読み方/聴き方。
⦿スキミング:読解や聴解で、全体をざっと把握して大意をつかむ読み方/聴き方。
問4 「問題の要因を細分化して整理」するために使う思考ツールとして適当なものを選ぶ問題
この問題は、どちらかと言えば日本語教育というより、品質管理などの分析ツールに関する問題だと思います。
1 問題に対して影響を及ぼしていると思われる要因との関係を、魚の骨のような図に整理する手法がボーン図です。品質管理的には「特性要因図」という言い方の方が一般的です。また、蛇足になりますが、品質管理の世界では日本人の石川馨が発明したことでも有名です。海外では「フィッシュボーンチャート」や「Ishikawa Diagram」とも呼ばれているツールです。
2 同心円チャートの輪の広がりは、時間・距離・世代などを表わし、それらの広がりや経過、違いによる変化をとらえる手法です。
3 ベン図は、複数の事実、考え、意見などについて、共通点と相違点を整理する手法です。円の重なり合った部分が共通点となります。
4 ピラミッドチャートは、何かについて調べて発表するときに、集めた情報の中から大事な情報を抽出し、自分が主張すべきことを焦点化する手法です。最下段に集めたすべての情報を書き入れ、その中から大事な情報を2段目に書き入れ、最後に主張すべき内容をまとめて最上段に書き入れます。
したがって、正解は1になります。
問5 「問題や解決方法に関する自分の意見を書かせ」る活動における指導の留意点として適当なものを選ぶ問題
1 グループで話し合いを行ったことで、他の学習者の考え方にも触れることができます。それらの意見も踏まえたうえで、自分の意見をまとめれば、より説得力を持った内容にすることができるでしょう。
2 ⑧の活動の目的は、自分自身の意見を自由に書くことなので、「これまで出た様々な意見を整理させる」とする選択肢2の内容は適切とは言えません。
3 新しく学んだ言語形式を使えるようになることがこの授業の目的ではありません。言語形式に合わせた表現しかできなければ、それはもはや「自分の意見」とは言えないでしょう。
4 選択肢2と同様、⑧の活動の目的は、グループの意見(⑦の内容)を各自でまとめることではありません。グループとしてまとめた意見に縛られる必要はなく、自分の意見を自由に書くように指導する必要があります。
したがって、正解は1になります。
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