📖赤本(第4版)関連箇所:〚多言語主義〛P328,329、〚各国の言語政策〛P332~339
ある社会において複数の言語の使用を認めることを多言語主義といい、そのような国を多言語国家といいます。
赤本の「多言語・多文化主義」(P328,329)の中で、多言語国家として取り上げられているのはカナダだけですが、
・カナダ・・・英語、フランス語
「各国の言語政策」(P332~339)の中で、公用語が複数あると記載されているのは、
・シンガポール・・・英語、マレー語、中国語(北京語)、タミル語
・インド・・・英語、ヒンディー語
だけでしょうか。
その他、スイスなども多言語国家として有名だと思います。
・スイス・・・ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語
世界には多くの多言語国家があるので、インターネットで検索しておくといいと思います。
(参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E8%A8%80%E8%AA%9E%E5%9B%BD%E5%AE%B6
正解は1になります。
問2 「スティグマ」の説明として適当なものを選ぶ問題
「スティグマ」は赤本には出てこない言葉です。こういう問題は文脈から正解を導き出すことができるので、チャンス!!と思いましょう。
問題文では、
・多数派言語は、政治的、経済的、文化的優位性を持ち、
・その反対の少数派言語者は、スティグマを持つ者と見なされることがある。
と言っているので、この文脈から推測できることは、
少数言語者は、優位性を持つ多数派とは反対に、社会的に弱い存在ということです。
つまり、「スティグマ」はネガティブな意味で、「スティグマを持つ者」が社会的な立場の弱さ(社会的弱者)を表すような意味になるになるわけで、そのような選択肢を選べばいいわけです。
それぞれの選択肢の内容を見てみると、
1 「他者と同じグループに属しているという人間関係に関わる認識」は、社会的な立場の弱さとはまったく関係ありません。
2 言語に感染性があるという考えや、言語が移ると危険という考えも一般的なものではありません。さらに、対象に差別的な考えを抱いて避ける態度をとるのは社会的強者の方であり、社会的弱者は、差別を受け避けられる側になると思うので、この選択肢は二重の意味で適当ではありません。絶対に選んではいけない選択肢ですね。
3 「偏見により」「社会的に否定的な評価を与えられる」。社会的強者である多数派と対比するネガティブな内容であり、文脈に即した選択肢であると言えます。
4 「状況などを認知」「先入固定観念」・・・まったく文脈とは関係ない内容です。
したがって、正解は3になります。
ちなみに「スティグマ」は、レッテル貼り、個人に非常な不名誉や屈辱を引き起こすもの、恥辱、汚名、烙印など。
問3 少数派言語話者の「言語権」を守るための取り組みの例として適当なものを選ぶ問題
「言語権」という言葉は赤本には出てこなかったと思いますが、そのままの意味で、言語を話せる(使える)権利のことです。
💡解法のポイント
⦿架空の多言語社会を設定し、選択肢の内容を具体的に考えてみましょう。
ここでは、仮に多数派言語:日本語、少数派言語:ビルマ語という多言語社会を想像してみます。
1 多数派言語である日本語の方言は東北方言などになるので、選択肢1の文に具体的な言語や方言を当てはめてみると、「東北方言の使用の制限がビルマ語を守る」という訳のわからない内容になってしまいます。よって、選択肢1の内容は不適当と言えます。
2 義務教育で使用する標準語と標準表記を関東方言に確定したところで、ビルマ語を守ることにはなりません。よって、選択肢2の内容は不適当と言えます。
3 ビルマ語話者にビルマ語の学習の機会を保障する。少数派であるビルマ語を守る取り組みとして適当と言えます。
4 司法の場で日本語に統一しても、ビルマ語を守ることにはなりません。よって、選択肢4の内容は不適当と言えます。
したがって、正解は3になります。
問4 「1991年に内閣告示された『外来語表記』」に示されている表記の原則として適当なものを選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:P159
赤本P159に1991年に内閣告示された『外来語の表記』の主なポイントが載っていますが、残念ながら赤本に記載されているポイントだけでは、適当な選択肢を選ぶことはできません。
この問題に正解するためには、実際に、文化庁のウェブサイトで『外来語の表記』を読んで、よく内容を理解するということしかなさそうです。
(参考)文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策情報 | 内閣告示・内閣訓令 | 外来語の表記
1 つなぎの符号に関しては、以下のように記載されています。
複合した語であることを示すための,つなぎの符号の用い方については,それぞれの分野の慣用に従うものとし,ここでは取決めを行わない。よって、「慣例に従って「・」とする」という選択肢1の内容は適当ではありません。
2 「ヴァ」の音については、以下のように記載されています。
第2表に示す仮名は,原音や原つづりになるべく近く書き表そうとする場合に用いる仮名で,これらの仮名を用いる必要がない場合は,一般的に,第1表に示す仮名の範囲で書き表すことができる。
文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策情報 | 内閣告示・内閣訓令 | 外来語の表記 |
「ヴァ」(第2表の仮名)を用いる必要がない場合は、「バ」(第1表の仮名)で表すことができるということなので、「原音に近い表記を用いる」とする選択肢2の内容は適当ではありません。
3 「ハンカチ」と「ハンケチ」のようにゆれのあるものは、以下のように記載されています。
「ハンカチ」と「ハンケチ」,「グローブ」と「グラブ」のように,語形にゆれのあるものについて,その語形をどちらかに決めようとはしていない。どちらでもいいということなので、「使用頻度の高い表記に統一する」とする選択肢3の内容は適当ではありません。
4 選択肢3で説明した通り、ゆれのあるものはどちらかに決めようとしてはいけないので、「両方の表記を認める」とする選択肢4の内容は適当と言えます。
したがって、正解は4になります。
問5 減災のための「やさしい日本語」の言い換えルールに当てはまらないものを選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:P346
やさしい日本語の言い換えルールを知っていなくても正解できる問題かもしれませんが、弘前大学人文学部社会言語研究室のホームページ(※)で、「「やさしい日本語」作成の12のルール」を確認しておきましょう。超重要です。
※2020年1月17日で弘前大学社会言語学研究室のホームページは閉鎖されてしまいました。 以下のサイトは同研究室のオフィシャルなものではないかも知れないので、もしかしたらそのうち削除されるかもしれませんが、参考までにリンクしておきます。
(参考)https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento207_20_sankou5-6.pdf#search=%27%E3%82%84%E3%81%95%E3%81%97%E3%81%84%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E+%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%27
1 一文を短くして文の構造を簡単に、分かち書きにして言葉のまとまりを認識しやすくすることは「やさしい日本語」の(2)にあるルールです(上記の参考サイト参照のこと)。
2 大事なことだけを分かりやすくシンプルに言い換えるべきです。このことは「やさしい日本語」作成のルールにはなっていませんが、「やさしい日本語文の作り方」の前文に「大切なことは「普通の日本語」と「やさしい日本語」の一語一語を対応させようとしないことです。忠実に翻訳しようとせず、伝えるべき内容の要点を翻訳するように心がけてください」とあります(上記の参考サイト参照のこと)。
3 難しいことばを避け、簡単な語を使うのは「やさしい日本語」の(1)にあるルールです(上記の参考サイト参照のこと)。。
4 あいまいな表現を避けるのは「やさしい日本語」の(6)にあるルールです(上記の参考サイト参照のこと)。
したがって、正解は2になります。
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