📖赤本(第4版)関連箇所:〚複合語〛P113、〚連濁〛P109、〚音便〛P162、〚狭(母音)〛P418、〚母音の無声化〛P423
1 連濁とは、複合語の第二(後部)要素の先頭の無声子音が有声子音(濁音)に変化する現象をいいます。具体的には、「酒(さけ)」→「甘酒(あまざけ)」、「紙(かみ)」→「厚紙(あつがみ)」、「机(つくえ)」→「勉強机(べんきょうづくえ)」など。
では「箱(はこ)」の場合はどうでしょう。筆箱(ふでばこ)、弁当箱(べんとうばこ)、空箱(からばこ)など、複合語の後部要素になったときいずれも連濁を起こしていることが分かります。よって、選択肢1の内容は適当と言えそうです。
2 「白くなる」が「白うなる」ということでしょうか。ならないので選択肢2の内容はは不適当だと思います。
3 狭母音とは、舌の位置が上あごに近い位置で出す音です。日本語ではイ[i]とウ[ɯ]が狭母音にあたります。「北(kita)」の無声音「k」と「t」に挟まれた「i」は無声音になる傾向があるため、選択肢3は適当と言えます。
参考までに。
(赤本P423からの抜粋)
音韻論的に見て母音があるところで、実際には(音声的には)声が出ていない(声帯振動がない)とき、その母音は「無声化された」という。ほぼ規則的に無声化されるのは、狭母音イ[i]、ウ[ɯ]を含む拍がアクセント核ではなく、以下の環境のときである。4 若い(wakai)→若けー(wake:)、あったかい(attakai)→あったけー(attake:)、ださい(dasai)→だせー(dase:)、くさい(kusai)→くせー(kuse:)、など選択肢4は適当と言えそうです。
・無声子音に挟まれている場合
例:~ました[maɕita]
・無声子音の後ろで、語末/文末(ポーズの直前)の場合
例:お菓子[okaɕi]、~です[desɯ]
したがって、正解は2になります。
☞超重要絶対暗記 《連濁》
⦿連濁:複合語の第二(後部)要素の先頭の無声子音が有声子音(濁音)に変化する現象。たとえば、「酒(さけ)」→「甘酒(あまざけ)」、「紙(かみ)」→「厚紙(あつがみ)」、「机(つくえ)」→「勉強机(べんきょうづくえ)」、「箱(はこ)」→「筆箱(ふでばこ)」など。
問2 「現在も進行中である長期的な歴史的変化」の例として適当なものを選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:〚日本語史〛P162,163、〚ハ行子音の変化〛P407中段※11、〚ラ抜き言葉〛P68,71
1 中古(平安時代)から動詞の活用は未然形、連用形、終止形、連体形、已然形、命令形の6つで現在と変わらないので、「活用の型数の増加」を「現在も進行中の歴史的変化」とする選択肢1の内容は適当とは言えません。
2 ハ行子音は、ファ、フィ、フェ、フォという[Φ]音から[h]音に変化したと考えられていますが(唇音退化)、同様の変化が現在も進行中という事実はないのではないでしょうか。選択肢2の内容は適切ではないと思われます。
3 「られる」には、受身と可能と尊敬の3つの使い方がありますが、どの使い方をしているのか分かりづらいころがあります。しかし、ラ抜きの「見れる」にすると可能でしか使えなくなるので、区別がしやすくなります。受身形と可能形を分けるラ抜き言葉は一般的になりつつある現状を鑑みれば、選択肢3の内容は適当だと判断できるのではないでしょうか。
4 「イ列における二種の仮名の使い分け」とは「い」と「ゐ」のことを言っているのでしょうか。それとも「じ」と「ぢ」などのことを言っているのでしょうか。いずれにしても「現在も進行中である」という認識はないように思われます。
したがって、正解は3になると思います。
☞超重要絶対暗記 《ラ抜き言葉》
⦿ラ抜き言葉:Ⅱ型動詞と「来る」の可能形において、「ら」が抜けて使われること。たとえば、[生魚を食べられる]→[生魚を食べれる]、[昨晩はよく寝られた]→[昨晩はよく寝れた]、[今朝は早く起きられた]→[今朝は早く起きれた]、[来週は用事があって来られない]→[来週は用事があって来れない]など。
問3 「調音時の各部位の働き」に関して、子音の調音動作の説明として適当なものを選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:〚調音点〛P405~407、〚調音法〛P407~410
この問題は、五十音図のすべての音の調音点と調音法を把握していないと正解するのが難しい問題です。
1 「ひ」は、硬口蓋で狭めを作り、そこを呼気が通る時に摩擦が起き、気流が乱れて出る音(硬口蓋摩擦音)です。よって、選択肢1の説明は適当と言えます。
2 「や」は、硬口蓋に向かって舌を盛り上げ、硬口蓋と舌の間が、摩擦が起きない程度に狭めて出す音(硬口蓋半母音)です。よって、選択肢2の説明は適当ではありません。
3 「く」は、軟口蓋に後舌を接触させて閉鎖を作り、完全に呼気の流れを止めたあと、閉鎖を解放して息を一気に放出する音(軟口蓋破裂音)です。よって、選択肢3の説明は適当ではありません。
4 「ち」は、硬口蓋の前の方に舌を接触させて、そこで破裂と摩擦を同時に起こす音(硬口蓋破擦音)です。よって、選択肢4の説明は適当ではありません。
したがって、正解は1になります。
赤本のP407~「2.7 調音法」をよく読んで、それぞれの発音の仕方を理解しておきましょう。
問4 「負の転移」の例として適当なものを選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:〚転移〛P280、〚誤用/発音上の問題点〛P103、P414
「負の転移」とは、第二言語の学習過程で第一言語や母語が影響を及ぼすことによって、第二言語習得の妨げになることを負の転移(干渉)と言います。
逆に、第一言語や母語が影響を及ぼすことによって、第二言語習得が促進されることを「正の転移」と言います。
1 この内容の通り、英語では[tʃ]の発音が語頭にくることはないようです。よって、英語母語話者が語頭の[tʃ]を[s]で発音してしまうのは「負の転移」と言うことができそうです。
2 シ[ɕi]は歯茎硬口蓋摩擦音、チ[t͡ɕ]は歯茎硬口蓋破擦音です。一方[ʃ]は硬口蓋歯茎摩擦音だそうです。なので、[ɕi]と[ʃ]は調音点の違い、[t͡ɕ]と[ʃ]は調音点と調音法の違いだと言えます。よって、「摩擦音と破擦音が弁別されない」(→調音法だけの問題)とする選択肢2の内容は適当ではないと思います。
3 スペイン語の母音は数も音も日本語と同じで「あえいおう」です。よって、「スペイン語には母音が三つしかない」とする選択肢3の内容は適当ではありません。
4 セ[se]は歯茎摩擦音、[ʃe]は硬口蓋歯茎(後部歯茎)摩擦音だそうです。よって、歯茎音と硬口蓋(後部歯茎)音の弁別がされないとする記述は適当と思われますが、これは中国語母語話者のことではなく、米国語母語話者についてのことなのではないかと思います。
したがって、正解は1になります。
☞超重要絶対暗記 《転移》
⦿負の転移:第二言語の学習過程で第一言語や母語が影響を及ぼすことによって、第二言語習得の妨げになること。
⦿正の転移:負の転移とは逆で、第一言語や母語が影響を及ぼすことによって、第二言語習得が促進されること。
問5 「学習者が自ら発音の違いに気づけるように発音の区別の手がかりを示す」例として適当なものを選ぶ問題
📖赤本(第4版)関連箇所:P411「図6-1-6 口腔内断面図での子音の調音点・調音法」
1 手で拍子を取って分かるのは拍の違いであって、発音の違いではないと思います。よって、選択肢1の内容は適当ではありません。ちなみに、「摂氏(せっし)」も「設置(せっち)」も3拍になります。
2 「ヒョー」も「ヒヨウ」の「ヒ」も両方とも有声音で、声帯の振動開始のタイミングも同じなので、選択肢2の内容は適当ではありません。
3 軟口蓋摩擦音である[x]に対し、両唇摩擦音である[Φ]は唇を小さく狭めて発音することから、「鏡で学習者の唇を観察させる」とする選択肢3の内容は適当だと言えます。
4 [u]と[ɯ]の違いは、円唇と非円唇の違いなので、鼻をつまむつままないは、[u]と[ɯ]の発音とはまったく関係がありません。よって、選択肢4の内容は適当ではありません。
したがって、正解は3になります。
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